「はじめてのツノガエル飼育」レビュー・3
いよいよツノガエルとの生活が始まります。
ツノガエルも人間や他の動物を同じように健康管理が大切になります。
今回はその辺をレビューしてみます。
ツノガエル類の健康管理とその対処法。
・自家中毒
腹部をべったりと底床につけているので自分の排泄物で自家中毒を起こしやすい。カエルの皮膚は浸透性が高く、汚れた少量の水分からアンモニア態を体内に取り込んでしまうことで起きる。アンモニア態はツノガエル類にとって有害で、その状態で体調が悪くなり、放置しておくと死に至ることも少なくない。
常に底床を清潔に保ち、アンモニア臭がしたらすぐに洗浄する。なるべく腹部が排泄物と接触する時間を短くする。
・レッド・レッグ
多くの両生類で問題になる疾病。ツノガエル類を長い間、不衛生な状態かで飼育している時に起こる、バクテリア性の伝染病。観賞魚でも知られるアエロモナス・ヒドロフィアという細菌によって起こる疾病で、バクテリアは多くの両生類の腸管内に存在している。それが不衛生な環境下で増大し、ツノガエル類に被害を及ぼす。高気温時に出やすく、進行すると水ぶくれのような腫瘍ができ出血する。
0.5%の食塩水に浸すことで他の個体への感染が防げるとされているが、カエルの場合、脱水を促しやすいので注意が必要。
観賞魚用にエロモナスに効く魚病薬(グリーンFゴールドリキッドなど)が市販されているが、微妙な薬浴の加減があるので観賞魚飼育の経験がない飼育者にはお勧めしない。
・目が白濁する
白濁する可能性として、飼育ケースにぶつかった、栄養性の代謝障害、飼育環境からの細菌類に感染して起こる角膜炎などが考えられる。
まずは飼育環境の見直しをし清潔にして様子を見る。それでも改善されない時は獣医師に相談し抗菌剤による治療が必要ならば行う。
・顎ずれ
ツノガエル類の上顎と下顎がしっかり噛み合わない症状は先天的というよりは、後天的にズレる個体が多く、代謝性骨疾患と呼ばれる症状もある。原因は詳しくわかっていない。(代謝性骨疾患の場合、カルシウム、リン、ビタミン、紫外線などの過不足によって骨に影響が出ると言われている)コオロギの単品給餌などもカルシウム不足を引き起こしやすいと言われているが現在のところ不明である。
ただし命にかかわる問題にはなりにくいので、気になるようであれば獣医師に相談してみるとよい。
・カエルツボカビ症
2006年12月に日本国内で飼育されているカエルからカエルツボカビが検出された。カエルツボカビ症はツボカビの一種によって引き起こされる致死率の高い感染症。カエルツボカビがカエルの体表に寄生し繁殖することで、カエルの皮膚呼吸が困難になり、発病すると食欲減退、体が麻痺して死に至るといわれている。その他、カエルツボカビ症によって食欲不振、沈鬱などの症状から、進行するにつれて縮瞳、筋協調不能、縮こまったような姿勢、裏返りが立ち直れない、口を開き気味にする、皮膚の脱落などが現れると言われている。
カエルツボカビ症はまだ未知な点が多くあり、一般の飼育者では判断できない場合がほとんどで、疑わしかった場合には専門機関などで検査してもらうことが大切。
カエルツボカビ症が出た飼育ケースの洗浄は、100倍程度に希釈した市販の漂白剤に15分つけ置く、または60℃以上の温水に5分以上つける方法などがある。
参考:国立環境研究所
・肥満
ツノガエル類は大食漢で食欲旺盛な種類のカエルである。食べるだけ与えていては肥満になり、肝臓の周辺に多量の脂肪がつくのだが、ツノガエル類の場合、肥満による問題は前後肢、特に後肢が利かなくなる方が問題なようだ。
給餌はカエルの年齢と体形のバランス、前後肢の太さと動き方をよく観察して適度に給餌する。
・誤飲
ツノガエル類は餌を食べる時に底床を一緒に飲み込んでしまうことが多々ある。パームマット、腐葉土、黒土などでは問題は起こりにくいが、消化管を通りにくいような大きな物を飲み込むと腸閉塞を起こすことがある。またファジー・マウスなどの毛の生えた餌を与えると、ツノガエル類は毛を消化できないため、それが毛玉となることもある。
未然に防ぐには底床に使用する物は消化管を通過できるサイズの物を使用し、樹皮などは大きめの物は取り除く。誤飲した物が何であるかわからなかったり、出そうもない物の時は、獣医師に相談して外科的な摘出を試みることも一つ出ある。
・脱腸
ツノガエル類を飼育していると排泄孔からピンク色の腸が出てくることがある。消化不良、肥満などが原因とされているがはっきりとはわかっていない。腸や膀胱が出てくる状態なので、排便、排尿ができなくなり、放置していると死に至る。
排泄孔から少しだけ腸が出ている状態ならば、湿らせた綿棒などで排泄孔内に押し戻してみることも可能。かなり大きく脱腸が起こってしまった場合には腸が乾燥しないようにしながら獣医師に相談するようにしたい。
・痙攣、後肢を硬直させる
ツノガエル類で時として起こる症状。昨日まで元気だった流のガエルが、水換えや底床掃除をしていると急に後肢を硬直させたように伸ばし、目を閉じ気味にして痙攣状態になる。いわゆるツノガエル類の突然死と呼ばれる状況の代表的な症状といえる。なぜ起こるのかは不明。数日前から食欲が落ち、底床や飼育ケースを通常より回数を増やすと幾らか改善したように思えても、結局は死に至る。
原因は不明だが、カエルツボカビ症の可能性も否定できないので、死亡個体はむやみに捨てずに検体することを検討していただきたい。
クサ子:肥満、肥満、肥満。ガブちゃんが心配だよ(T-T)
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